三人の孤児

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彼らの姿は美しかった。 一人は、白い髪に碧の瞳。ブランド物のスーツを着こなしている。 彼の着ているスーツは羽のように軽く仕立てられた物で定評のあるブランドだ、スーツではあるが、動きにくさを感じさせないデザインになっている。 またお洒落の要素もしっかりとしており、何より着こなすのが難しい。 伊達眼鏡もお洒落のポイントの一つだろう。 「やあ、レッド」 男は軽く手を挙げ笑顔でレッドに声をかけた。 その表情は久しぶりの旧友との再会に相応しく、適切だと言えるだろう。 対してもう一人はというと上品な顔立ちをした、綺麗な金髪の女性だ。 表情は、面倒そうな呆れた顔をしている。 なんとも、再会を喜んでいるようには見えない。 「いい加減女の子になれた?」 女は、ゆっくりとレッドに近づくと、久しぶりの挨拶の変わりに抱き着き、頬にキスをした。 彼女のセクシーなぷっくりとした唇がレッドの頬に触れた瞬間、レッドの肌に鳥肌が立った。 「なっあ!?!」 「ご愁傷様」 白髪の男がレッドに哀れみの言葉を投げ掛けると女は、何よこの男たちは!と怒りを見せ、左肩に彫られた薔薇のタトゥーに触れた。 薔薇は彼女が最も愛する物だ。香りも、色も、形もどれをとっても一級品だ。 それに何より、彼女にそっくりだ。 見た目は美しくとも、触れれば棘に刺され怪我をする。 そんな彼女の容姿は、その端正な顔立ちも相まって極上のプロポーションを併せ持っていた。 薄紫の瞳、胸、くびれ、尻、どれをとっても素晴らしいの一言に尽きる。 彼女の身を包む、高級な薄紫のドレスも、彼女の前では霞んで見える。 「失礼しちゃうな」 膨れっ面で彼女は二人にそっぽを向くように機嫌を損ねた。 彼女は美しい。 しかしこの二人は女性が苦手という、何とも言えない欠陥を持っている。 男はみんな、自分の前にひざまずき靴にキスをする。なのに、この二人は別なのだ。
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