スラム

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「美味しかったよ!おねぇさん!レッド!またな」 「おう!気をつけろよ」 男の子はそれだけ言うと中心地に集まる、子供たちの集団の中に走り去っていた。 レッドは男の子に優しい眼差しを向けて見送ると、自分も寝床へ歩いて行った。 「爺さんは、今頃何をしているかな?孤児院が襲撃されてもう五年か……。みんなに会いたいな」 レッドは、孤児院の仲間を懐かしんだ。 中でも仲の良かった二人が、今どうしているのか、生きているのかが心配でならない。 孤児院に謎の集団が襲撃してきたあの日から、レッドの右肩の疼きも徐々に強まるばかりだ。 日本人にしては、体も大きく筋肉もついている。 レッドは、自分の名前からも、自分は外国の人間なのではないかと思っている。 襲撃してきた者たちの体つきも、自分のように大きく、日本人離れしていた。 きっと、日本ではない場所から攻め込んできたに違いない。 では一体何のために? レッドの頭では、ここまでが限界だった。 「あいつなら、きっとすぐにわかるんだろうな」 空を見上げ仲間を想う彼の表情は、憂いに満ちていた。
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