122人が本棚に入れています
本棚に追加
「美味しかったよ!おねぇさん!レッド!またな」
「おう!気をつけろよ」
男の子はそれだけ言うと中心地に集まる、子供たちの集団の中に走り去っていた。
レッドは男の子に優しい眼差しを向けて見送ると、自分も寝床へ歩いて行った。
「爺さんは、今頃何をしているかな?孤児院が襲撃されてもう五年か……。みんなに会いたいな」
レッドは、孤児院の仲間を懐かしんだ。
中でも仲の良かった二人が、今どうしているのか、生きているのかが心配でならない。
孤児院に謎の集団が襲撃してきたあの日から、レッドの右肩の疼きも徐々に強まるばかりだ。
日本人にしては、体も大きく筋肉もついている。
レッドは、自分の名前からも、自分は外国の人間なのではないかと思っている。
襲撃してきた者たちの体つきも、自分のように大きく、日本人離れしていた。
きっと、日本ではない場所から攻め込んできたに違いない。
では一体何のために?
レッドの頭では、ここまでが限界だった。
「あいつなら、きっとすぐにわかるんだろうな」
空を見上げ仲間を想う彼の表情は、憂いに満ちていた。
最初のコメントを投稿しよう!