招待状

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冷たい風が吹きすさぶ、秋の夜は虫たちが煩く鳴き声をあげる。 「さみぃ」 レッドは、誰も住んでいない廃墟で一人横になっていた。 スラムに特定の宿があるわけではない。その日によって場所を変える。 小悪党から盗みを働いている自分が、特定の宿を持ったら見つけられやすいからだ。 しかし、今日は何か胸騒ぎのような物が胸を締め付ける。 レッドは、割れたガラス窓から見える月を眺めた。 真ん丸の白い月が、自分を見下ろしている。 ふいに、背後に気配を感じた。 「誰だ?」 レッドは身構えた。 「私だよ。レッドくん、Gからの招待状を渡しに来た」 「爺さんから?」 柱の影から、手だけを出し白い封筒の手紙をヒラヒラと揺らしている。 「何の招待状だ?」 レッドは手紙を受け取ると、柱の影に隠れた者の反対側によしかかりながら手紙を広げた。 「さあな、私は頼まれただけだ。じゃあな」 手をヒラヒラとさせ、闇に消えていく男。 「じゃあな情報屋」 レッドは挨拶を交わすと、手紙の内容に目を通した。手紙は、イタリア語で書かれており何とか理解出来る単語が並べられていた。 「あいつに教え込まれたから何とか読めるけど、日本語で書いてくれよ爺さん」 レッドは、軽く愚痴をもらすと手紙をライターで火をつけ燃やした。
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