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『ですが今直ぐとはいきませぬ。一月ほど猶予をいただきたいのです。』
『なぜじゃ』
『訳は豊竹庵様が、私の元に参った理由と同じです。私と豊竹庵様だけでは万の軍勢を率いる事は出来ませぬ。武将が足りませぬ。一騎当千の武将が少なくともあと3人は必要です。』
『そうは言うが紀之介よ。そのような武将は大体が他家に仕官しておる。その者たちを引き抜けば、我らの事も明るみに出るやも知れぬ』
『ゆえに一月いただきたいのです。』
『そちには心当たりがあるようじゃな。申してみよ。』
『一人目は前田慶次朗殿、次に真田信繁殿、最後に高山右近殿。』
『なるほどのう・・・。慶次朗は仕官しておらぬし、信繁は次男ゆえにそれほど障りはない。右近は今は利家殿の元で客将の身じゃったな。』
『はい。慶次朗殿はかぶき者ゆえ面白そうな話にはのりましょう。信繁殿はまだ若いが真田の血を引くだけあってかなりの大器です。それに真田家にとって徳川は不倶戴天の敵、我らに味方してくれましょう。後は右近殿ですが、高山家再興と領地でのバテレンの比護を約束すればお味方してくれましょう。』
『うむ。流石は紀之介。見事な案じゃ』
『あとは見所のある者を見いだし育てていけばなんとかなるでしょう。』
『そうするより他にあるまい。』
『では早速行動に移るといたしましょう。』
『うむ。わしは一月後にそなたらを迎える準備をいたそう。紀之介。必ず戻ってこいよ。』
『わかっております』
二人は笑顔で別れた。
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