秀長動く

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笹尾山本陣。 石田方の武将が勢揃いし、床机に座っていたが、一人の老将が三成に話し掛けた。 『石田殿。新たな軍勢とはどこの手の者でごわすか。』 『まだわかりませぬ。そろそろ放った物見が帰ってきましょう。』 『なっ。おはんは詳細もわからぬまま我らを参集したのでごわすかっ。』 『はい。行けませんでしたか。』 『ぬっ。明日にも決戦を控えておる深夜。本来ならば英気を養うべき時に、訳もわからぬ情報に振り回されては困りもうす。』 三成に食ってかかる老将と三成を見ていた上座に座る若い武将がなだめた。 『島津殿。落ち着いてくだされ。石田殿も皆の事を思っての事です。どうか某に免じて許してやってください。』 『総大将の宇喜多殿が申すのならば・・・』 先程から三成に食ってかかっていた老将は島津維新入道義弘。宥めた若い将は宇喜多秀家。
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