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皆の笑い声の中を近習達が酒と膳を運びこむと、宴が始まった。
宴が始まり四半刻が過ぎ、皆が語り合いながら楽しんでいたが、幸村が静かに座を立った。
それに気づいた慶次。
『ん。どうされた。幸村殿。厠かな。』
『いえ。慶次殿のお役目の為の宴を邪魔する不粋者があっては成りませぬゆえ、某は見回りに行って参ります。某の分まで皆様安心して飲んでくだされ。』
幸村は笑顔で言うと幕舎を出ていった。
『それは忝ない。では幸村殿の分は我らがひきうけましたぞ。』
皆は幸村の思いやりに心の中で手を合わせた。
秀長と吉継はその光景を微笑ましく見ながら、杯を合わせた。
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