復讐の炎

12/13
前へ
/84ページ
次へ
「………」 黙ったまま、和樹は動こうとしない。 そのいかにも余裕な様子を見せる和樹に、歯を食いしばってさらに怒りを露わにする江上。 「そこの女もろとも!喰ってやるぞぉ!!」 叫びながら、和樹に向かって飛びかかる。 大きな巨体が飛んでくるなか、和樹は地面に座り込んでいる由香を抱え上げ、ギリギリでかわす。 そのまま江上は木にぶつかるが、ぶつかった箇所を喰いちぎり、木はメキメキと音を立てて倒れた。 ギロリと目を向け、由香を抱えながら片膝をつく和樹を目で捉える。 「……白木」 抱えた由香をゆっくりと下ろし、名前を呼ぶ。 「な、何?」 「…少し、後ろに下がってろ」 由香を立たせ、一歩前に出る和樹。 「………まあ、一瞬で終わるから、その必要はないがな…」 そう呟き、さらに一歩踏み出す。 そして、スッと、左目を閉じた。 「……なんの真似だ…それは…」 和樹の行動に、完全に頭にきた江上は、もう爆発寸前だ。 「ぶっ殺してやる!!!」 殺意剥き出しな大声を飛ばし、江上は和樹に向かって突っ込んでいく。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

275人が本棚に入れています
本棚に追加