275人が本棚に入れています
本棚に追加
和樹はすぐさま左目を閉じ、右目で江上を捉える。
「おっとぉ…」
「あうっ!」
「!」
和樹のそれに気付いた江上は、由香を盾にするように前にかざした。
「テメェのワケのわからねえその右目の力、出せるもんなら出してみろよ」
「ッ………チッ」
和樹は小さく舌打ちをし、スッと左目を開ける。
「それでいい。これから何が起きてもその力を使うな。……さて、女」
「……」
「あのガキを殺せ」
「ッ!?」
江上の言葉に、由香は目を見開いた。
和樹は黙って、その現場を見つめる。
「あのガキを燃やして殺すんだ。その後にお前を殺して、俺様は逃げる。…完璧だと思わねえか?」
由香の耳元で、唇を歪めて笑う江上に対し、歯を噛み締めて怒りを露わにする。
「だが、嬢ちゃんが俺に炎を向けた場合は、即座に嬢ちゃんの首を食いちぎる」
「ッ…」
どうする事も出来ず、困惑した様子を見せる由香に、
「白木」
和樹が声をかけた。
「…やれ」
「!?」
和樹の言葉に耳を疑うが、和樹の表情は真剣なものだった。
「俺を燃やすだけでいいんだ。さぁ、"全力"でやれ」
最初のコメントを投稿しよう!