成敗

4/23
前へ
/84ページ
次へ
「ほう、いい度胸だ。死ぬ覚悟が出来たか?それとも何か企んでんのか?」 「……さあな。やってみればわかるんじゃないか?」 江上はニヤリと笑いながら和樹を睨む。 和樹も同じく、小さく笑みを浮かべながら江上を睨み返す。 「おもしれえ。なら、やってみるとしようか?女、火ぃつけろ」 「……い、いやよ」 由香は首を締め付けられたまま、拒否の言葉を吐く。 「オラッ、さっさとやれよ…!」 「ぐっ…あああ゙…!!」 首をさらに締め付けられ、苦痛に顔を歪める由香。 「白木、いいんだ。やれ」 「だ、ダメ…よ…東堂…くん…」 和樹の言葉にも否定する由香。苦しみに耐えながらも、必死に抵抗する。 「いいんだ。白木。俺なら大丈夫」 「で…でも……」 「俺を信じろ」 和樹の言葉が心に響き、由香の意志が揺れる。 「カッコいいね~少年!まあ、今から死ぬんだから意味ないが…ほら、嬢ちゃん。火ぃ出せ」 江上は締め付けていた腕の力を緩め、促す。 由香はしばらくピクリとも動かずにいたが、ポケットからゆっくりとライターを取り出した。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

275人が本棚に入れています
本棚に追加