275人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいぞ。…それじゃあ、さっき俺にぶっ放したあのデケー火をアイツに当てろ。加減せずに、全力でな」
「くっ…」
江上の指示に少しばかり抵抗を見せる由香だが、和樹の言葉を思い出し、ライターから手に火を移す。
「………」
「………」
黙って目を合わせてくる和樹の言葉、"俺を信じろ"という言葉を信じ、手を頭上に掲げる。
(信じるわよ……東堂くん…!)
そして、猛烈な勢いで小さな火は巨大な豪炎に変わり、辺りに火花を散らせる。
「……いくよ」
「来い」
フッと笑う和樹に、自然につられて笑みをこぼす由香。
そして、
「…『フレア・バズーカ』!!」
巨大な豪炎が真っ直ぐに和樹に向かって空を突き抜ける。
江上は、確信した。
あのガキは死んだ。能力を使えばこの女を殺す、という脅しに屈し、無抵抗なままあの炎に焼き殺される。
そして、ガキの死を確認したその後に、この女を殺してずらかれば、なんの問題もない。
江上は抑えきれずに、ニタリと笑った。
が、
その笑みは、一瞬で彼の顔から消滅する。
最初のコメントを投稿しよう!