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「今日は……ホントにありがとう」
小さな公園にあるブランコの片方に腰かけながら、由香が言った。
「……しつこいぞ。何度同じ事を言えば気がすむんだ…」
缶ジュースを二本持ちながら歩み寄ってくる和樹は、もうウンザリとしたような顔をしている。
缶ジュースを一本由香に手渡し、由香の隣のブランコに腰を下ろした。
「何度言っても感謝しきれないわ。…私は今日、確実に死んでたもの…」
「バカが無闇に一人で突っ込んで行くからだ」
由香の発言に、一切の迷いなく言い放つ和樹。
彼は、少しばかり怒っているようだ。
「厳しい……でも、そうね。確かにそう。ただ憎い、殺したいとしか考えてなかったから…あのままじゃ、お父さんとお母さんの二の舞になってた…」
「これからはもっとよく考えて行動するんだな」
「……何怒ってるの?」
「お前さえいなければ今頃俺は学校なんだ。普通に授業を受けているはずなのに………この猿が…」
「イタッ、イタタタ!!だから、その事はさっきからあやまってるじゃん!!」
和樹は由香の額にデコピンをし、右頬をつまみ上げる。
由香はペシペシと和樹の左手を叩きながら涙目になる。
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