あるカフェテラスにて。

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氷が溶けかけたアイスコーヒーをかき回す音。 莉子はアイスコーヒーを飲むでもなく、いたずらにストローを遊ばせていた。 セミロングの茶色に染められた髪の毛は毛先でカールされ、首を傾げる度にクルクルと弾む。 20代前半に見える童顔の彼女。色白でパッチリした丸い目、他のパーツは小さく可愛らしい顔立ちをしている。 「ねえ?どう思う?信じられないよね?…女の子と二人きりで映画観に行くなんて!ねえ?これって浮気だよね!?」 頬を膨らませて、プゥとした感じで口をとがらかせている。 「莉子ちゃん、男って浮気するものなんだよ~。仕方ないよ。それが男の性ってヤツ!」 明菜がなだめるように莉子の肩を叩いた。 明菜はさっぱりとしたショートカットで明るい色の髪を耳にかけ、大きめなピアスが揺れている。口角の上がったアヒル口は笑うと大きくなり白い歯が眩しい。 「莉子は舐められてるね。」 微笑を浮かべて紗夜が言った。 紗夜は腕組みしながら背筋を伸ばしカフェテラスに座るその姿は優雅だった。 紗夜は人目を惹く程、端正な顔立ちの美人。その美しさを際立たせるような艶のあるストレートの黒髪は背中まで伸ばしてある。 莉子はそんな紗夜を恨めしそうに睨んだ。 「紗夜チャン!ひどい!」 「だってほんとのことじゃん。莉子はいつでも男の言いなりになるから、男は好き勝手やるの。男って調教するものなのよ。」 顔色変えずにスラスラと紗夜は答えた。 「千里チャン~、千里チャンはわかってくれるよね?」 莉子は隣で一部始終を聞いてた千里にすがりついた。 「…いや、わからん。なんせ浮気されたことないもん。そんなモテる男と付き合った経験がない。」 独特の話し方でキッパリと言い放った千里。千里は 黒渕メガネで全身黒に身を包んだ格好にはいっさい無駄なアクセサリーはない。ほとんどノーメイクで飾り気もない。Simple is Best―彼女のためにある言葉のようだ。 ぶぅ~とまた口を膨らます莉子。
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