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秋生はひそかに涙する。
「あ、そうだ~。桃ちゃん」
ぽん……手を叩く奈々。何かを思いついた顔をして、
「お絵かきしようよ~」
「おえかき?」
「うん。あーくん先生との未来予想図を絵にしたらどうかな?」
「……あーくんとのみらい……よそうずかぁ」
ぽわん、となって呟く桃。
「奈々先生?」
何を言い出すんだ? みたいな視線を奈々に向ける秋生。
「うん。絵にする。あーくんとの……うふふ♪」
「…………」
桃の妄想をとめる手段がない。
奈々も桃力作のお城(?)を壊した真犯人が誰か分かっていたのでそう提案したのだろうが、自分のことを出された秋生はトホホ……な感じだ。
「よーし! あーくん♪ 教室に戻ろうよ♪」
桃に手を強く引かれながら秋生はこの件がうやむやになってニヤリと笑う美幼女二人を見た。
(はぁ。俺の味方はいないのか)
秋生は手を振っている奈々に困ったような笑みを見せ、桃に引っ張られながらワンワン組の教室に向かった。
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