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「俺はただ移動しただけだ。まさか、とらえられなかったか?」
「――ンなわけねぇだろう!」
叫んだ淳は両手をクロスさせるように振り下ろす。
バツの形をした風が放たれ、神崎の体を切り裂く。
――だが。
神崎の体は揺れ、また淳の前から消えた。
……たん、たん。
軽くノックするような足音。
空気が渦巻き、凝縮するような気配を感じて。
淳はそちらに向けて風の刃を放ち、そして自ら後ろに跳んだ。
無音。
淳が鳴らした音が吸い込まれ――消滅した。
漆黒の球体によって。
(ったく、厄介だぜ。あの球体は)
淳は呻くと神崎の眼前に出現している漆黒の球体を警戒する。
(あれは、何だ?まさか【星の欠片】を用いた力か?)
それとも、別の能力?
「【青い鳥】には俺たちが知らない何かがあるのかよ」
「それを教えるほど俺は優しくない」
「誰も知りたくねぇし。ちょこまかと逃げるのはやめて正々堂々と戦いやがれ!」
「ふっ、勘違いしてないか?」
「何をだ?」
小バカにしたような神崎の笑いに目をつり上げる淳。
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