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「俺ははじめから戦うつもりはないんだが」
薄く笑った神崎は軽く地面を蹴り、危険防止の金網の上に立った。
風が彼のコートの裾を揺らす。
「【青い鳥】はエージェントとことを構えるつもりはない。
放っておいてくれたら、すぐに消えてやるさ」
「『じゃあ、そうする』――なんて答えるわけがないだろうが!
俺っちたちは遊びで危険な任務をしているんじゃねぇんだぞ!」
「俺たちも遊びじゃないんだが」
「余計にたちが悪いぜ!
絶対にてめぇらを引きずり落としてやる!」
「できるのか?」
神崎はつい、と目を細めて、
「神――あるいは魔王がつくった【青い鳥】……エージェントごときにおくれはとらん」
「――ンじゃあ、試してみやがれ!」
淳が叫んだ瞬間、神崎が立つ金網が粉砕された。
☆
「…………」
自分の足元にあった金網がなくなったことに驚いたふうでもなく、神崎はとりあえず着地してから目線をあげる。
と、自分のまわりにナイフが浮遊しているのに気づいて首を傾げた。
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