日常【一】

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サムライ幼女の名前は白井 桜【しらい・さくら】。 くのいち幼女の名前は風切 忍【かぜきり・しのぶ】。 二人はそれぞれの武器(殺傷能力ゼロ)を構え、油断なくお互いの出方をうかがってる。 「くっ……桜ちゃん。相変わらず隙がないね」 額に汗が浮かんでいる感じで忍はうめいた。 「これでも毎日修行(のようなもの)をしていますからね」 風で黒髪を揺らしながら桜は冷静に答える。 「現在十五勝十五敗。  そろそろ勝ちが欲しいところですわ」 「それは忍も同じ。  どちらが優れた武芸者が――」 「――勝負です! 忍ちゃん!」 二人は叫ぶようにいうと同時に駆け出す。 お互いに向かって。 幼い子供とは思えないスピードで。 「えい!」 気合いの声。 まずはじめに仕掛けたのは忍だった。 手にした手裏剣を桜目掛けて放つ。 「甘いです」 桜は手裏剣をハリセンで弾き落とし、にやっと笑う。
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