406人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわっ!?」
聞こえた声に気付いて、咄嗟にボクは先輩からスルリと脱出を試みた。
案外、スルリと抜けられて驚く。
って、
問題はそこじゃなくて……っ!
「棒読みな台詞を、
どうもありがとう弥生(ヤヨイ)」
そんなことを考えているうちに、ボクから手を離した先輩は振り返ることなく、そう言った。
その口調が明らかに人を咎めるような言い方で、先輩でも嫌味を言うんだな、と思って驚いてしまう。
「ふふっ……どう致しまして~」
そして、その声の主はバッチリとボクにウインクを決めると嬉しそうにそう言った。
「えっと、あの、先輩……」
弥生さん、だっけ?
先輩との会話からして親しい関係なんだろうけど…
ボクが不安げに先輩を見つめれば、一瞬、顔を赤く染めながら、先輩は何かを呟く。
「……朝比奈、
上目遣いはヤバイって……」
「ぇ?」
小声だった為、上手く聞き取れず聞き返せば何でもない、とはぐらかされてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!