初デートは突然に

7/39
前へ
/516ページ
次へ
「はいはい、もぉ~……  私の前でイチャつかないの!」 そう言うと、弥生先輩?はボクらの前までスタスタと歩いて来た。 先輩が歩く度に、ゆるくパーマのかかったような肩までの薄茶色のショートがふわふわ揺れていて何とも可愛らしい。 先輩は目の前まで来るとボクの右手を軽く握って話しだした。 「初めまして、朝比奈くん?  私(アタシ)、一樹の幼馴染み兼  親友をやらして貰ってます、  片桐 弥生(カタギリヤヨイ)です。  気軽に弥生先輩って呼んでね?  じゃあ、以後お見知り置きを  ……なんて、ね?」 そう言えばさっと握っていた手を離し、口元に持って言ってクスクス笑った。 何気にこんな急な展開に慣れて来たのか、すっかりボクの脳は弥生先輩をしっかりと観察していた。 切れ長に広がった綺麗なアーモンドアイに外人さんみたいに綺麗な顔立ち。 身長も一樹先輩と負けない位高くて、スラリと長く伸びた手足は女性なら誰もが憧れる、といった感じ。 髪を束ねるのが面倒なのか、 それともお洒落か、白に黒の細いラインが入ったカチューシャを身に付けていて、それがまたよく似合う。 おしとやか、に見える外見とは打って変わって、ハキハキとした口調からは頼りになるお姉さんをイメージしてしまう。 そんな風にじろじろと眺めながら考え込んでいれば、「また百面相して……」と飽きれたような声が頭上から聞こえた。
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!

406人が本棚に入れています
本棚に追加