406人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょ、一樹!?」
その突拍子もない先輩の提案に慌てたのはボクよりも、チケットをボクに預けた弥生先輩だった。
「何だ、弥生。邪魔をするな」
「だって!今のは……
朝比奈くんが勇気を出して
大好きな先輩を誘うって言う
貴重な萌えシーンだったのよ?
それをみすみす逃すなんて……」
いや、弥生先輩、貴重な萌えシーンって……
「あーあー……わかったから。
とにかく、弥生は少し黙れ!」
断定的な口調に文句をブーブー言いながら、弥生先輩は「もう知らない」って言って教室を出ていってしまった。
「いいんですか……?」
思わず訊ねれば、先輩から「構わない」と即答が返ってきた。
「……で、だ、朝比奈。
弥生からで、何だが……」
そうおもむろげに言う先輩。
「何ですか……?」
相づちを打てば、
「私とデート、してくれるか?」
「はいっ!」
また、真剣な顔に戻った先輩がいて、ボクは何の迷いもなく、喜んで頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!