初デートは突然に

13/39
前へ
/516ページ
次へ
「ちょ、一樹!?」 その突拍子もない先輩の提案に慌てたのはボクよりも、チケットをボクに預けた弥生先輩だった。 「何だ、弥生。邪魔をするな」 「だって!今のは……  朝比奈くんが勇気を出して  大好きな先輩を誘うって言う  貴重な萌えシーンだったのよ?  それをみすみす逃すなんて……」 いや、弥生先輩、貴重な萌えシーンって…… 「あーあー……わかったから。  とにかく、弥生は少し黙れ!」 断定的な口調に文句をブーブー言いながら、弥生先輩は「もう知らない」って言って教室を出ていってしまった。 「いいんですか……?」 思わず訊ねれば、先輩から「構わない」と即答が返ってきた。 「……で、だ、朝比奈。  弥生からで、何だが……」 そうおもむろげに言う先輩。 「何ですか……?」 相づちを打てば、 「私とデート、してくれるか?」 「はいっ!」 また、真剣な顔に戻った先輩がいて、ボクは何の迷いもなく、喜んで頷いた。
/516ページ

最初のコメントを投稿しよう!

406人が本棚に入れています
本棚に追加