2人が本棚に入れています
本棚に追加
世界に唯一無二の存在として。
この悪魔―レベル87モンスター《デビルナイト》は、上顎から伸びる長い二本の鋭い牙を剥き出し、鼻で笑ってみせた。
現実だ。
この世界に存在するどれもが現実。
仮想の偽物など一つも無い。
俺はもう一度、剣を体の正中線に構えた。
デビルナイトも、左手の大きい盾を前につきだし、右手の両刃直剣を引いた。
ブラックサンドに、何処からか冷たい風が吹き寄せ、この砂漠の名の通り黒い砂埃がより一層、舞い上がった。
視界はほとんどゼロに等しい。
陽の光りさえもほとんど遮断されている。
けれど勝機はある―。
「ぐぁぁっ!!」
凄まじい咆哮とともに、デビルナイトが地を蹴った。
遠間から、ロングソードが鋭い光りを放ち俺の懐に飛び込んでくる。
激しい黒煙の中、鮮やかなオレンジ色の軌跡が眩く輝く。
直剣カテゴリーに属する単発重攻撃技。
射程四メートルを0・五秒で詰めてくる優秀な突進技だ。
しかし、俺はその攻撃を先読みし、この土地の特性を利用したのだ。
そうなるように、わざと間合いを広く取り、時には近付きそんな動作を何回も取り続け、敵のAI学習を誘導したのだ。
さらにこの土地の特性だ。
この土地はブラックサンドと言われ、名の通り黒い砂が積もり出来た砂漠。
ここは常に、黒い砂埃りが舞い上がり、視界があまりよくないく、さらに10分に一回の確率で吹く風によってより一層、砂埃が舞い、視界がゼロになる。
それを俺は狙っていた。
そのため、何分に一回風が吹くかの計算をするため、三回も風を見送り、40分にも渡ったて確実性を狙う四回目を待っていた。
それが今だ―。
四メートル、0・五秒という脅威の速さで近付いてくる敵の剣の僅かの光を視界ゼロの中から動態スキルを発動し、確実に捕らえ、敵の剣先が俺の体に後、何コンマという距離で、俺は鍛え上げた瞬発スキルを発動し、体の正中線に構えてた剣で、敵の剣の軌道をずらし俺は敵の後ろに回った。
敵は捕らえたと思っただろう。
けれど俺は敵の後ろに既に回っている。
それがこの土地の特性を利用した俺の狙い。
最初のコメントを投稿しよう!