よろず屋 仮面

3/5
前へ
/110ページ
次へ
洋館の中はやはり広くて外装の古い感じとは裏腹にとても綺麗でアンティーク家具で統一されていた。 女性に履歴書を渡し、案内されたのはまるで保健室のような部屋だった。 『面接の前にまず身長と体重を計らせていただいてもよろしいですか?あと何問か質問に答えていただきます。』 今までいろんな会社の面接を受けたがこんなのは初めてだった。けど仕事の為ならと身長、体重を計り。その後好きな食べ物やら利き腕やら何気無い質問をされた。 そして客間らしき部屋で一人で待たされる事になった。 僕は身長も体重も小柄な方で顔は母に似て童顔。そして女顔。 こんな容姿の為に厳格で男は男らしくが口癖の父に地元の男子高校に通わされた。 高校時代は毎日が悪夢だった。だから地元を離れた。 けどやはりこの容姿の為になかなか仕事は見付からなかった。 だからこの仕事は何がなんでも受かりたかった。 ガチャ…っと客間の扉が開く。 真っ赤な髪。両サイドは編み込んであり後ろ髪の長さは背中の真ん中位。ストライプのスーツを着た…男性のようで女性にも見える中性的な顔立ちの人が入ってきて僕の目の前の椅子に足を組んで座った。 『初めまして。よろず屋仮面の店主の東雲司です。』ハスキーな声で自己紹介をした口元がニヤリとした。 "シノノメ ツカサ" ますます男か女かわからない。 『初めまして。南明菜です。年は19…』 僕の自己紹介をしようとすると店主はスッっと左手を上げた。 『履歴書を拝見しました。南明菜さん。』 僕の顔をじっと見つめまたニヤニヤと笑っている。 また扉が開く。 そこに先程の女性がお茶を運んできた。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加