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荷物の整理も終わり改めて挨拶に行こうとリビングへ向かったが誰も居ない。
まだこの広い洋館に慣れていないのもあり、少し迷いながら二人の姿を探した。
キッチンの方から声が聞こえる…声がする方に歩いて行った。
『なー世里、俺オムライスが食いたいー』
『はぁ!?なら太陽さん所に行けばいいじゃない』
『嫌だよ、あいつのとこ行くと説教くらうもん』
『それは…あ、南さん』
昨日とはまるで違う二人に言葉を失う。こんないい家に住んでるくらいだし…素が昨日のだと勝手に思っていたから驚いた。
『明菜ちゃん整理終わったなら早速仕事だよ~』
店主は昨日の畏まった雰囲気とはまったく違う口調で話し掛けてきた。
『は、はい社長!!』
社長という言葉に世里さんが笑っている。
『俺の事は司でいいよ…社長ってタイプじゃねーから』
僕の肩を叩き司さんはキッチンから出ていった。
『ごめんなさい、びっくりしたでしょ?昨日のは商売上の顔だから…アレが司なの』
商売上の顔…
少し納得しながらキッチンカウンターの椅子に座り世里さんが入れてくれた紅茶を飲んだ。
『これから依頼人がくるから昨日の客間に行きましょか?』客用のお茶を準備し終え世里さんが言うとタイミング良くチャイムが鳴った。
依頼人だ。
僕のよろず屋仮面での
初仕事だ。
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