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客間の椅子に少し緊張して座っている依頼人の少女。
その向かいにストライプのスーツ姿の司さん。
『それでは御依頼内容をお聞かせいただけますか?』
司さんは商売上の顔で接している。そんな司さんの後ろに僕と世里さんが立って話を聞くことになった。
依頼人の少女の名前は竹部亜紀子さん。
竹部さんは俯き気味に話し始めた。
『私…今二年程文通をしている男性がいるんです。』
文通…今時珍しい。
そんな事を思ったけど話を聞き続けた。
『相手の男性から会いたいと言われたけど…私、自分に自信がなくて…』
依頼内容はこうだ。
自分に自信がない彼女に代わり相手の男性に会う。
そして別れ際に最後の手紙を渡す。
最後の手紙は文通を辞めるという内容らしい。
『私…彼を好きになってしまったんです。けど…私なんかに好かれたら彼は迷惑でしょうし』
僕から見た彼女はそんな風には見えなかった。とても可愛らしい女性に見えた。
『私…父が決めた婚約者もいるんです…だから…』
彼女の目が少し潤んでいるように見えた。
『わかりました。お受け致します。』
司さんの言葉に依頼人は深々と頭を下げた。
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