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依頼人を見送ると司さんは煙草を吸い始めた。
『今時文通なんて珍しい事してんなー?』
僕の感じた事を司さんも思ったらしい。
『とりあえず太陽さんの所に行かなきゃいけなくなったね?』世里さんが司さんを見て笑っている。
司さんは嫌そうな顔をしながら出掛ける準備を始めた。
『南さんの紹介もあるし…歓迎会も太陽さんの店でしよう?南さん出掛けますよ?』
世里さんに促され訳が解らないまま出掛ける準備をした。
世里さんの愛車青いスカイライン。世里さんは見掛けによらずスポーツカーやバイクが趣味らしい。
そして…運転は滅茶苦茶荒い。
僕は太陽さんという人の店。レストラン&バー ONIX(オニキス)に着いた時にはぐったりしていた。
司さんは慣れているのかケロっとしている。
店に入るととても雰囲気のいいお店。この街にこんなにいいお店があるなんて知らなかった。
司さんも世里さんもカウンター席に座ったので僕は世里さんの隣に座った。
『いらっしゃい…あら…新人?可愛い子ね?』
左の髪を刈り上げた30代前半の女性がカウンターから声を掛けながら僕らを見ると、注文を聞く前に司さんにジントニック、世里さんにビールを出して僕にウィンクして僕の顔を覗き込みながら
『私は栗須あゆみ…太陽でいいわ。何飲む?新人君』
僕は少しドキドキした。とても色気のある女性だ。
『南明菜です。はじめまして…えっと、オレンジジュース下さい』
僕は軽く頭を下げ、未成年だからジュースを注文した。
太陽さんは振り返りグラスを手にしてオレンジジュースを注いでいる。
"クリス アユミ"でなんで太陽さんなんだろう?
また疑問が増えた。
疑問と言えば…
世里さんも司さんもこの店の常連みたいだ。そして二人共酒を飲んでるって事は年は二十歳を越えているらしい。僕はまだこの二人を良くしらないままだった。
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