四月十七日常茶飯事

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ポケットに入っていたレシートをクシャッと丸めてごみ箱へ力任せに投げた。入らないと分かっていて力任せにした理由は二つ、少し風が強く吹いていたことと、自分の不甲斐なさに嫌気がさして体がむず痒くなっていたこと。大学の初登校日。僕は地元にある公園のベンチに座っていた。風はまだ冷たい。 一年越しの学校だった。去年のこの時期といえば……丁度予備校に通わなくなりだした頃だ。あの頃の僕にはビデオの授業なんて退屈過ぎた。今だって同じだ。あれこれと文句をいいながら学校を休んでいる。いいんだオリエン(オリエンテーション)だからと、理由にもならない理由をくっつけて。 心境はリストラされた会社員。一緒にしないでくれって向こうからお断りが来そうなくらいにやる気に温度差はあるけども、まあ公園で時間潰している辺り似たようなもの。携帯電話の充電と相談しながら、春のうざったい桜の下でテキトーにケーカイな音楽でも聞く。メシ代に貰った五百円は無駄にはできないが、手元にあるあったかーいのおしるこは多分有用な使い方のはずだ。
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