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「他人を駒としか思わないお前が、よくもまあ――」
「駒は駒でも、有益な駒です。私と同じく」
真っ正面から言い放ち、視線を逸らさずに睨み合う。
そして、その威圧感に耐えかねて、再び男が口を開こうとした――瞬間
「きゃあああっ!」
「「「…っ!?」」」
絹を引き裂く様な、甲高い断末魔が響き渡った。
弾かれた様に振り返ると、そこには抜刀すら出来ずに痩躯を折り曲げた上級生の姿があった。
「…に、げて…」
体から鈍色の爪を生やした彼女は、血糸を吐き、涙を流しながら絶命した。
「大路~~っ!」
目の前で学友の命が奪われたのを期に、不二神といがみ合っていた男が叫ぶ。
「くそっ!一体何だ!?」
錯乱状態に陥る一歩手前で何とか踏み留まり、状況を確認する。
ざっと視線を巡らせるが、先程の爪の持ち主の姿は見つからない。
「霊圧が消えている…っ!虚か!くそっ、何処に隠れた…っ!?」
場に残された霊圧を探りながら、慎重に次に現れそうな場所を模索する。
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