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「いつまで呆けている。さっさと構え直せ!全く…手間のかかる先輩様だっ」
「お前たち…すまんっ」
その声にはっと我を取り戻し気持ちを切り替えると、彼もまた己の刀を構え直した。
キシャアアッ
同時に威鳴。
獲物を奪われて気分を害したのか、虚は鈍色の巨体を伏せて長い爪を地面に打ち付けた。
「不二神、マッドワイパーだ」
相手と対峙しながら藍染は隣にいる友に告げる。
その言葉に少女は口の端を吊り上げた。
「中の下と言った所か。悪くはないな」
「僕ら学生にしてみれば、最悪な相手だと思うんだけれど」
「思ってもいない事を口に出すな、藍染。地獄に堕ちるぞ?
――まぁ、何はともあれ、これで漸く実習らしくなってきたな」
言いながら切っ先を虚に向け、拍子にチラリと背後の崎田に視線を投げる。
「先輩はそこで見ててくれ。くれぐれも邪魔だけはしてくれるなよ?」
「な…」
「何をするつもりだっ!お前たちに虚の相手はまだ無理だっ!」
慌てて駆け寄る清瀬に、不二神は不機嫌そうに眉を寄せる。
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