BLEACH-覇道の夢-

15/42

39人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
 その間に距離を稼いだ不二神が詠唱を始める。 「さて…この位離れれば、完全詠唱しても問題ないか」  少女は心を鎮めて、ゆっくりと息をつくと声に意志と力を乗せ言葉を紡ぎ始めた。 『自壊せよ 血肉の仮面・万象・羽搏き ヒトの名を冠す者よ…』  ざわざわと辺りの空気を波立たせながら霊圧が上がり始める。  ひゅんひゅんと空を切る音と共に、視認できる程の霊子の渦が周囲を取り巻いた。 『罪知らぬ幽壁(ゆうへき)・再読し・倒滅し・災禍の凶爪に自らの牙を穿(うが)て!』  詠唱が終わると共に、虚を見据えた瞳が鋭彩な輝きを示す。  掲げられた手に青い焔が集い一気に収束する。そして―― 「『練式の十二 四縛蒼焔(しばくそうえん)』!!」  力ある言葉と共に収束した焔が閃光の様に閃き、解き放たれた。  術者の手から離れた炎は激烈な速さで虚の躰を拘束し、燃え上がる。  ギジャアァアアッ  耳障り極まりない虚の苦悶の声。それこそがその術の威力を物語っていた。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加