39人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「ほう、完全詠唱でも形は残るか。まだまだ改良の余地がありそうだな」
口の中でそう呟くと、不二神は興味を失ったかの様に背を向けた。
「充分だ…藍染、止めは任せる」
「分かった」
頷き一つ返すと藍染は、蒼い炎の柱となり燃え盛る虚を一足飛びで間合いを詰め斬り捨てる。
ざぞんっ
深い湿撃の音と共に、虚の躰が真っ二つに切り裂かれた。
「ふう、終わったね」
きん、と乾いた音を鳴らして刀を鞘に納めた藍染が笑顔で振り返る。
白光の剣線が過ぎた後にはただ塵となり始めた虚の骸が残るのみだった。
「そんな…バカな…」
あまりの出来事に呆然としながら、取り残された六回生二人は目を見開き、魘される様に呟いた。
「藍染の腕前もそうだが…不二神の、あれは何だ?!」
「二重詠唱、ではないのは確かだが…」
ただその場で立ち尽くす二人の言葉を聞きつけ、歩いてきた藍染は微笑を浮かべながら問いに答えた。
「あれは、“練式鬼道”と言うもので、不二神独自の技なんですよ。二重詠唱と違って詠唱時間が短く、効果も破縛両道を併せ持ったものが多いのが特徴です」
最初のコメントを投稿しよう!