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藍染――君なら、分かってくれるだろう?
目を閉じれば、今尚、脳裏に残る鮮やかな声。
涼しげな面差しに細い体。艶やかな濃紫の髪、紫黒の瞳、そして何者にも侵されない崇高なる意志――全てにおいて完璧で、理想だった。
世界に、これ程にまで美しい人がいるのだという事を、彼女に出会うまで知らなかった。
「そうだね、紫苑…よく分かるよ」
目を閉じると昨日の事の様に思い出す、彼女と過ごした日々。
とうに捨てた筈の郷愁すら思い起こさせる淡く儚い思い出に浸りながら、彼――藍染惣右介はゆっくりと目を閉じた。
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【数百年前】
――真央霊術院
「…え~、であるからして、諸君らは将来、瀞霊廷を背負って立つ指導者としての自覚を持ち…」
統学院、入学初日。
各々の学級に分かれ説明を受けている最中にも関わらず彼、藍染惣右介は軽く溜め息を吐いた。
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