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「本当に、このままでいいのか…とね」
「このままでいい、とは?」
首を傾げる。
彼女に見えているもの、その不安が分からなくて。
紫苑は僅かに眉根を寄せた。
「我々の在り方だよ。我々は本当にこのまま、十三隊の任務をこなし続けるだけでいいのか?」
「と言うと?」
「…本来なら、護廷十三隊に所属し、この瀞霊廷を――尸魂界を護れる事を誇りに思うべきなんだろう。
だが、最近、私は思うんだ。
この統制がとれず、歪み、古い因習に囚われた死神制度も、争いが絶えない現世も、何処までも下界に無関心な王も――本当に必要なのかと」
「紫苑、それは…っ」
「分かってる。不穏な事を言っていると、私自身も自覚してるよ。ただ、それでも…その考えを打ち消せないんだ」
深紫の瞳が悲しげに細められる。
「…琴乃が、脱退させられた」
「伊居くんがっ!?」
最近会ってはいなかったが、まさかそんな大事になっていたとは知らなかった。
「何故?」
「命令違反だそうだ。虚に襲われた部下を助けようとして」
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