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「…納得出来ない。虚に襲われている部下を助けるのが、どうして命令違反に…」
むしろ推奨されるべき事の筈だ。
頭(かぶり)を振る藍染に、彼女は痛まし気に嘲笑った。
「王族の警護任務中だった」
「それは…っ!」
王族――この世界で最も貴いとされる一族。
その警護は主に王属特務という特別機関が行うが、ごく稀に護廷十三隊も、その警護網の外縁を任される事がある。
その際の最優先事項は言うまでもない――何が起きても警備網を死守する事。
それを怠れば当然、罪に問われる。
恐らく伊居は王属特務と行動を共にする様に言われていたのだろう。だが目の前で部下を襲われ、思わず助けに戻ってしまった。
「予測でしかないが、恐らく間違いない。昨日着で伊居琴乃は“脱退”させられた」
一般に知られてはいないが、本来、護廷隊に脱退という制度はない。
病やその他の事情でやむを得ず隊を離れる場合には“離隊”。その後、復隊の目処が立たなかった場合には“除籍”という扱いになるのが普通で、脱退の様に、さも自らの意志の様にして隊を離れる事は許されない。
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