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理想の世界を手にした彼女は喜ぶだろうか。
憂いのなくなった彼女の笑顔は、一体どれ程、美しい事だろう。
そして、その傍らに自分の居場所があれば、自分はどれ程幸せな気持ちになれるだろうか。
「登り詰めよう、共に、あの天の頂まで」
熱に浮かされたかの様に呟きながら、華奢な手を握る。
彼女は一瞬複雑そうな顔をしたが、直ぐに頷き返した。
それがとても嬉しくて、心の底からの笑みを浮かべる。
いつまでも二人で歩んでいける。
この時の二人は、それを信じて疑わなかった。
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【十数年後】
――瀞霊廷隊舎・書庫
「藍染七席!」
昼を終え、調べ物をしていた藍染は駆け込んで来た隊士の顔色を失った顔を見て、眉をひそめた。
「どうしたんだい?そんなに慌てて」
普段、統制のとれた彼らが慌てる事は少ない。それを知っているが故に彼は怪訝に思い尋ねた。
静かな問いに隊士は息を急ききって答える。
「流魂街、79地区・草鹿に、虚が…っ!現在、見廻組が応戦中!」
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