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静かに語る。嫌な予感が更に大きく、強くなる。
蒼白になる藍染に、紫苑は疲労の滲んだ笑みを崩さぬまま告げた。
「君には見せていなかったな。私の斬魄刀――“閠竜丸(ぎょくりゅうまる)”を」
「閠、竜丸?」
彼女の口から初めて聞くその言葉。
普通、死神は始解の習得を目的とし、日々研鑽に励む。
斬魄刀と対話し、名を得て始解と呼ばれる状態に移る事で漸く、死神は斬魄刀の力を扱う事が出来る様になる。
だが、その為には長い修行と鍛練が不可欠だ。
それに彼女は斬魄刀の始解に至ったと、自分には一言も言って来なかった。
余り急な展開に頭痛がする。
目眩にも似た感覚を覚える中、足元の文様の色が僅かに濃くなった気がした。
不可思議に思い目を凝らす藍染に、彼女は続けた。
「私の斬魄刀は、兎に角…意地汚くてな、何でも呑み込んでしまうんだ」
だから、恥ずかしくて君には言えなかった。と彼女は苦笑いを浮かべた。
痛みか、疲労か、その笑みは微かに歪む。
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