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「紫苑…話は、後で聞くよ」
呟く様にして、ゆっくりと手を差し出す。しかし、彼女はその手を取ろうとはしなかった。
それどころか、聞き分けの無い子をあやすかの様に微笑む。
「無理だ。そこで沈みかけている虚が、やたらと強くてな。
容易に捕まえられそうもなかったんで、練式で私自身と繋いだ。
私が助かれば、こいつも助かってしまう」
「だが…っ」
「お別れだ」
呟かれた言葉に、藍染は息を呑んだ。
固まった藍染に対し、彼女はふわりと黒紫の双眸を細めた。
「…本当は、もっと、君と一緒に歩いていたかったんだが…」
「紫苑!……これ、はっ!?」
駆け寄ろうとし――足が動かない事に気が付いた。
見ると、足元に数条の光が絡み付いていた。
「練式の八十二“無限光牢”」
「何故だっ!?」
「すまない、でも、こうでもしないと…君は、こちらに来てしまうだろう?」
「だからと言って…っ!戻れ、紫苑!頼む、僕と一緒にいてくれ!」
「惣右介…」
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