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「愛しい愛しい紫苑、君は…なんて残酷な女(ひと)なんだろう。だが」
そんな君を、誰よりも愛していた
だからこそ、彼女の最期の願いを叶えようと心に決めた。
彼女の望んだ理想の世界。それをこの手で創ってやろう。
『君が、天に立て』
最期に遺された言の葉を抱いて、藍染は立ち上がった。
そこには、かつて愛した幼馴染みに見せた穏やかな笑みはなく、何処か思い詰めた様な冷笑が浮かんでいた。
**********************
「藍染様」
「…要か、どうした?」
声を掛けられ目を開けると、そこには己の片腕たる男が立っていた。
「連中が、辿り着いた様です。如何致しましょう?」
「適当にあしらっておいてくれ、直ぐに行く」
「畏まりました」
深々と頭を下げ、退出していく副官の背を眺めながら藍染は小さく笑んだ。
「漸く、ここまで来たよ」
紫苑、君の託した夢が、現実になろうとしている
「出来れば、君にも傍らにいて欲しかったが…」
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