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【数日後】
「藍染君、移動か?一緒に行ってもいいかな?」
「不二神くん」
移動の最中、背後から掛けられた声に振り返るとそこには一人の少女が立っていた。
「次は、白打の教練だったかな?」
滑る様にして近付いてくる彼女に藍染は頷く。
「ああ、そうだよ」
「昨日は君に良い様にしてやられたから、今日は御返しをしなければ」
時間割に視線を落とした藍染に、不二神は悪戯っぽく目を細めながら呟いた。
入学して数日、席が隣同士という事もあり親しくなった二人は一緒に行動する事が増えていた。
上級貴族の一人娘だという彼女は、藍染に対しては特に気取った様子もなく、当たり前に付き合ってくれている。
それが何とも不思議な感じがして、彼は教練場まで歩く最中、入学以来ずっと気になっていた事を尋ねてみる事にした。
「そう言えば、不二神くん…ずっと気になっていたんだけれど」
「何だ?」
「何故君は、僕の名前を知っていたんだい?」
貴族に知り合いなどいないし、試験の日に彼女と出会った記憶もない。
首を傾げると、不二神は、ああ、その事かと事も無げに呟いた。
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