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ゆるりと身を起こし、立ち上がる。
まだまだ邪魔は多いが、最後に勝つのはこの私だ。
遺された野望(ゆめ)を抱いて、藍染は虚ろに微笑んだ。
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【そして時は遡る】
目が覚めると、そこは一様に砂漠の広がるただ広い空間だった。
「ここ、は…?噂に聞く、虚圏(ウェコムンド)か?」
目を凝らし、周囲を探るが辺りに敵らしきものの姿は見えない。
「生きて、いる…?」
実感が湧かずに首を傾げると、ずきりと体全体が痛んだ。
「…くっ…夢、ではなさそうだが…」
訳が分からなかった。
確かに自分は、自らの封滅術式で滅ぶはずだった。なのに、どういう訳かは知らないが、こうして生きて存在している。
「やれやれ、折角格好をつけたのに…何と間抜けな…」
別れ際の友の顔を思い起こし、眉をひそめる。
死ぬ間際で感情が高ぶっていたとは言え、とんでもない事を口にした気がする。
「君が、天に立て…か」
あれは言ってはならない言葉だった。
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