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「気を付けないと、先輩たちに目をつけられるよ?」
「大丈夫だ、藍染。誰も私に意見しようだなんて大それた事、思いもしないさ。私は上流祭事筆頭・不二神家の次期当主…一人娘だからな」
そう言った彼女は、どこか寂しそうでもあった。
彼女が貴族故に抱える孤独。それを知るが故に、藍染はひょいと肩を竦めるだけで、特に何かを言う様な事はしなかった。
「しかし、本当に退屈だな。いっそ虚でも出ないかな」
軽くのびをしながら呟く。
相次ぐ物騒な発言に、流石にと藍染は口を濁した。対する友は、そうかなと眉を上げる。
「私と藍染、二人いればそこいらの下級虚なんぞ敵ではない。そうだろう?」
「そう、かもしれないね、けれど…」
「周りを気にするな藍染、私たちは特別なんだ。何を言っても許される」
「不二神、それは…」
困惑しながらも口を開いたその時――
「随分と御大層な口を利いているな、不二神紫苑」
「先輩!」
割り込む様に会話に入って来た声に、藍染は緊張に体を強張らせ、不二神は不快そうに顔をしかめた。
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