33人が本棚に入れています
本棚に追加
暗い部屋の中、私はPC画面に向かって萌えていた。
「キャー!王道転校生受け良いよ!あーでもツンデレさん受けも捨てがたい…」
パソコンに映し出された男の子達。その子達は皆一様に青いブレザーを着ていた。
「このゲーム買って正解だった!私の好みに近そー」
そう言い手にとったゲームケースには【聖峰学園】と書かれていた。
とにかく総受け!!愛され大好き!!
な私にとって、固定キャラエンドルートに入っても他のキャラから愛されまくるこのゲームは神そのものだった。
友人から言わせてみると【そんな暑苦しい恋は嫌】らしいが、私は好きなのだ。個人の趣味の問題だからほっといてほしいものだ。
フンフン鼻歌を歌いながら、主人公の名前を入力する所まできた。名前を変えなければフルボイスでBLゲームを楽しめるが名前を変えると『君』や『あなた』などにボイスが変換されてしまう。
けれど、私はあえて自分の名前を入力してみる。心境の変化と言うわけでなく、試しに自分の名前を入れて少し試してみよう!的な軽いノリだった。
名字
伊東
名前
優
画面に映し出された名前に満足気に決定ボタンを押す。
すると一回画面が真っ白になってしまい、動かなくなった。
「え!?ちょっとフリーズ!?」
さあ、今からだと言うのにそれはないよ。
とパソコンの画面を凝視していると薄く文字が出てきた。
【貴女が入学しますか?YES・NO】
新しい始まり方だなーっと思いながら、YESをクリックすると次の文字が出てきた。
【男で入学しますか?YES・NO】
BLゲームなのに何を当たり前の事を聞くのかと、半ば面倒くさそうにYESをクリックする。
すると、画面に次の文章が出てきた。
【入学有難うございます。それでは、学生生活を楽しんできて下さい。】
最初のコメントを投稿しよう!