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初彼。
私より7歳年上の、男性でした。
ふとしたきっかけに私が作った詩を見られて、告白されたんです。
「付き合わない? 杏の詩、好きなんだ」
嬉しくて、恥ずかしくて。私はうなずくことしかできませんでした。
詩を書いた日記帳をなくした。
「ない、ない!」
日常の中で思ったことをとにかく書いてみたあの日記帳は、読まれたら赤面ものだ。
机の中も、鞄の中にも、教室にあったゴミ箱も探したのに、なかった。
「帰ろう…」
こうゆうのは、一時、時間がたった頃にでてくる時があるし。
教科書を鞄に直していると、教室の前の方の扉からはずんだ声がした。
「杏子姉さん、一緒に帰ろう!」
「彩希じゃん。今日は牧谷君はいいの?」
「あんなやつ知らないよ」
彩希は、長い髪を高い位置で結んだ、可愛い女の子。
いろいろ相談乗っているうちに、『お姉さん』と慕ってくれるようになった。
笑顔が綺麗な彩希だけど、今日はなんだかご機嫌ななめ。
どうやら、原因は牧谷君らしい。
二つ年下の彩希と牧谷君。二人は付き合っている。今日はケンカでもしたのか、彼の名をだすと、途端に彩希は黙り込んでしまった。
「それじゃあ、帰ろうか」
「うん!」
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