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授業の風景。
ボーっとしてたら、途端に眠気に襲われた。
「はい、終わります」
次に私の意識が戻ったのは、授業終了のあいさつの時。
終礼もこんな調子で、学校の一日が終わった。
「おい、杏子! いるか?」
「いるいる。今日は牧谷君か」
「俺じゃ不満かよ?」
「べっつにー」
いつも三人で帰るけど、最近は日替わりで彩希と牧谷君が私の教室に迎えに来ていた。
荷物をまとめて教室をでると、やっぱり彩希の姿はない。
「彩希に何かした?」
「なにも」
「何で仲直りしないの?」
「……べつに」
喧嘩すると、必ずと言っても折れるほうの牧谷君。だけど、今回は一味違うみたい。
「好きな子には、素直にならなくちゃ。男だろ?」
「うるせぇっ! チビ」
「それは禁句だバカヤロー!」
山岡 杏子15歳。
人より背が足りません。
それは、私が一番気にしていることです。
なのに、なのに!!
「でも、まぁ。女はそれくらいが丁度いんじゃねーの?」
「牧谷君のくせに生意気な!」
牧谷君と帰った道のりは、やけに短く感じた。
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