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しばし呆然としていた少女は彼が魔物の牙を一本切り取った所で我に返った
「あっ、あの!」
「ん?」
彼女が自分に話しかけているのだと思った彼は(というより他に人はいない)彼女の方へ顔を向けた
「あの、助けていただきありがとうございます」
礼儀正しく頭を下げる彼女に彼は、
「ああ、気にすんな。俺はこいつの声が聞こえたから来たまでだ。あんたは偶然みたいなもんだよ」
そう、彼は彼女の叫び声ではなく魔物の雄叫びに反応してここまで来たのだ
「そ、そうなのですか・・・。でも助けて頂いたことには変わりありません」
そこまで言って彼女は急に何かを躊躇するかのように話しかけた
「それで、あの、助けていただいて図々しいのですが・・・」
「何だ?」
魔物の牙を手に入れられて満足な彼はその牙を見つめながら彼女へ答えを返した
「とっても言いにくいのですが・・・、その牙譲っていただけませんか!?」
彼の顔が笑顔のまま固まった
「・・・何だって?」
固まった笑顔のまま彼女へ顔だけ動かす
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