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~リュカ視点~
王都へ向けてこの嬢ちゃんと歩き始めて二時間ほど経った
牙が手に入り若干浮かれ気味、しかし急いで帰ろうとしているのか俺の少し前を歩いていた嬢ちゃんが急に振り返った
「そういえば自己紹介がまだでしたね?私はアリアと申します。よろしくお願いします」
なるほど。一応他人に名前を聞く前に自分から名乗る点では合格ラインだ
・・・って考えてる俺は何様なのかな?
「・・・リュカ・カシムだ。」
「リュカさん、ですか」
「さん付けはやめてくれ。背中がかゆくなる。リュカでいい」
俺の言葉に彼女は少し戸惑った様子を見せたが、
「分かりました。よろしくお願いします、リュカ」
「・・・ああ」
返事が少し冷たくなってしまったが仕方がない。俺としてはそんな自己紹介よりも牙の値段をいくらにしようかという方が重要だからだ
ダイヤモンドエレファンは魔物ランクBの大物だ。そいつの牙となると結構な値段にしたいんだが・・・ん?そういえば、
「あの森には一人で行ったのか?」
いくら王都から近いと言っても森の中に丸腰で、さらに魔物ランクBを狩りに行くなんておかしくないか?
彼女は一瞬苦笑すると、
「実は、近くの森にダイヤモンドエレファンがいるって話を聞いたらいてもたってもいられなくてですね・・・。そのまま勢いで出て来ちゃいました」
それで死にかけてたら世話ねぇわな
「ところで、リュカはどうしてあそこにいたんです?」
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