幼なじみは箱入少女

2/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
無事に高校に上がって、ほっと一息付いた。 まぁ、推薦入試で半年前にはクリアしてたけど… でも高校生になったという実感は、あまりなかった。 なのに、ホームルーム委員を決めている今、いきなり実感が湧いてきて、感極まって泣きそうになった。 夢も希望なく、先生に勧められたから受けた学校。 それでも、花の高校生…。 青春の代名詞。 誰しもが主人公になれる時。 いやむしろ、主人公の大半が高校生! 別に主人公したい訳じゃないけど。 とまぁ、無事に委員になることを退けながら、考えていた訳ですよ。 で、それがいっぱいいっぱいになって、誰かに話したくなったんだ。 だから同じクラスに居るはずの幼なじみを、目で探した。 ん?あれ。 アイツの名前、名簿にあった筈なんだけど。 姿が見当たらない。 「なぁ」 一応授業中ではあるので、小さめの声で斜め前の男子に声を掛ける。 名前はまだ覚えていない。 まだ3日目なのに覚えられるか。 「なぁってば」 「え、何オレ?…なんだよ」 「このクラスに西澤って女子いなかったか?」 「西澤?」 にしざわ、にしざわ。と、ソイツは口の中で言葉を転がす。 そして、ポンと手を打った。 「あぁ、あの子?」 「どの子」 「病弱な美少女って噂な」 「なんだそれ」 確かに大人しいヤツではあるが、病弱だった覚えはない。 美少女か…は個人の判断に任せるにしても。 「ほら、そっちの空いてる席」 ソイツが顎で示したのは、割と真ん中ら辺にある、空いている席だった。 確か、入学式から病欠の生徒の席だったか。 因みに俺らは、ベランダ側の後ろら辺という特等席だ。 「あれが西澤さんの席」 「…………え」 「どんな可愛子ちゃんなんだろな」 「は、マジで?」 「へ?」 え。幼なじみが休んでた事に気付かなかったとか。 どんだけ浮かれてたんだ!?俺!! と、自分の腑抜け具合に流石に呆れ果て、あんぐり口を開けて止まってしまった。 ソイツが、「おい?」とかなんとか声を掛けてくれてる気もするが、気のせいだろ。 うん、無視だ無視。 しばらく1人反省会をしなくっちゃ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!