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2人がMB格納庫に入ると、整備士たちから資料を受け取った。そこには、今からコレンが搭乗するMB――《MBT-03 アルタイ》に関するデータが事細かに記載してあった。
「ゾルのカスタム機……高機動戦闘が求められるのか」
資料を置き、コレンは格納庫の中央で輝いている《アルタイ》を見上げた。
TEUの主力MBである《ズド》と《ゾル》に比べると、人に近いデザインになっている。頭部にはゴーグルのようなものがあり、それと肩と腰の装甲は青く、他の装甲は灰色だ。
「俺たちはズドで援護するから、お前は思い切り駆けろよな」
すれ違いざまに、ポンポン、と肩を叩き、コレンを勇気づけた。
「うん、やってやるよ……アルタイとともにね」
脇に抱えてあったヘルメットを被った。そこから見えるコレンの瞳には迷いなど感じられない。
そして、《アルタイ》に向かって歩きだした。
「これがアルタイ……ゾルのカスタム機らしいけど、全然違う」
コレンは《アルタイ》のコクピットに乗り、レバーやマニュピレーター、ペダルの感触を確かめていた。誰も触れていない機体だけあり、全てが新しい。しかし、どこか懐かしさも感じる。
『コレン、新型の調子はどうだ?』
コータローの《ズド》から通信が入り、彼の声がコクピットに流れた。
「かなりいいね……僕に合うよ」
『敵さんは近くまで来ているようだ……コレンは後から』
「アルタイは発射シークエンスに入ります!」
コータローの言葉を遮り、コレンは誰よりも先に《アルタイ》をカタパルトに乗せた。
『お、おい!?』
「コレン・レッカード、出ますよ!」
そして、格納庫のハッチが開き、アルタイは青い空へと飛び出していった。その速さは、コータローの《ズド》では追いつけないと一瞬で判断できる程であった。
『勝手だな……みんな、急いで追うぞ!』
他の《ズド》のパイロットたちの出撃を急かせながら、コータローはコレンの無事を祈っていた。
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