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また始まる地獄の日々。
あ…まだ地獄だと思えることが幸せなのかもしれない。
地獄?
まだ幾分か地獄の方がマシかもしれない。否、あいつから逃げられるならどんな所であっても天国と感じるだろう。
フラフラと足がちゃんと地についているのかもわからないまま駅から会社への道のりを歩いていく。
周りを歩いていくサラリーマンやOL達はスタスタと自分の仕事場へと早足に追い抜かしていく。
まるで、早送りをしているように…
「しっかり前を向いて歩きなさい!」
肩にぶつかったような痛みを感じたのと同時に僕よりももっと年配の男性が睨み付けながら通りすぎざまに怒鳴っていく。
僕は何も言えないまま、ただ呆然とその姿をある建物の中に消えていくのを見ていた。
…大きな建物だな
ずっと眺めていたら首が疲れてしまいそうだ。
あんな高い場所からはどんな景色が見えるんだろう。
…きれいなのかな
僕はまるで何かに吸い込まれるようにそのビルの中に入っていった。
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