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いつものコーヒー。
気分とは逆に今夜は上手く淹れる事ができた気がする。
多分いつもと同じだとは思うけど・・・こんな事を思う自分になんだか可笑しくなった。
二人向かい合って、上手く淹れることのできたコーヒーを飲みながら他愛無い話をした。
「そろそろ行ってみるよ。」
彼は『帰る』という言葉を使わない。
帰る時には必ず『行ってみるよ』と言う。
彼なりの気遣いなのかもしれない。
そんな気遣いなんてしなくてもいいのに。
たぶん、今夜は私を抱きにきたのだと思う。
普段以上に言葉が少なかったから。
帰り際の玄関。
いつもより長くて貪るようなキス。
「・・・・・んっ。」
その場に立って居られなくなるような長いキス。
こんな動物的な彼は珍しくて、やっぱり何かあったのかもしれない。
私のささくれ立った心なんかよりも、もっと大きな何かが。
もう少し優しくすればよかった・・・とこの時になって後悔した。
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