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『君の能力を発揮して欲しい』
ついさっき言われた言葉を繰り返し考えていた。
涼くんと会った次の日、私は部長に呼ばれ面談をした。
上級への昇格試験の推薦。
今の主任という立場に満足もしているし、もっと他に適任な人がいるように思う。
それにまだ勉強しなければならないことがたくさんある。
面談を終えるとすぐに脇本さんが寄ってきた。
「森下さん!部長何て言ってたんですか?
やっぱり昇格試験の事だったりして?」
「そう、受けてみないかって。」
「マジでいいじゃないですか!」
「ちょっと迷ってる・・・。」
「俺、森下さんが上司なら今の百倍仕事しますよ。」
「調子いいんだから。」
「でも、全国転勤になったりするんです・・・よね?」
「ゆくゆくはね。
ただ、今回は本社部門への昇格試験らしいから。」
何故か手放しで喜ぶまでの気持ちにはなれなかった。
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