第十二章

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『君の能力を発揮して欲しい』 ついさっき言われた言葉を繰り返し考えていた。 涼くんと会った次の日、私は部長に呼ばれ面談をした。 上級への昇格試験の推薦。 今の主任という立場に満足もしているし、もっと他に適任な人がいるように思う。 それにまだ勉強しなければならないことがたくさんある。 面談を終えるとすぐに脇本さんが寄ってきた。 「森下さん!部長何て言ってたんですか? やっぱり昇格試験の事だったりして?」 「そう、受けてみないかって。」 「マジでいいじゃないですか!」 「ちょっと迷ってる・・・。」 「俺、森下さんが上司なら今の百倍仕事しますよ。」 「調子いいんだから。」 「でも、全国転勤になったりするんです・・・よね?」 「ゆくゆくはね。 ただ、今回は本社部門への昇格試験らしいから。」 何故か手放しで喜ぶまでの気持ちにはなれなかった。
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