第十三章

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「おいしい。」 「良かった~。 気に入ってもらえるかどうか、ちょっと心配だったんですよ。」 真向かいに座る彼女は、出される料理ひとつひとつに喜んでくれた。 最初は落ち着かなかったものの、店に入ってから30分もすれば俺の動悸も 静かになっていた。 フレンチやイタリアンと、お洒落な店も良かったかもしれないが好き嫌いは無いと言っていた彼女をこの店に是非とも連れて来たかった。 「・・・・・・鶏料理、好きなの。」 『 好きなの 』 俺に向けられた言葉ではないのは百も承知。 何にすればいいかと迷っていた俺の努力が、その一言で報われた。 思わず神さまにお礼が言いたくなった。
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